慎くんの和泉くんへの一方的な牽制を遮断したのは、大原くんのそんな一言だった。
「何を勘違いしてるのか知らないけど、蒼に今彼女はいない。幼馴染の俺が保証する。な?蒼」
「…あぁ」
「まっ、大事な子はいるけど」
ニッといたずらに笑ってそう言う大原くんの言葉に、ズキンと心が重くなった。
「俺も誰にも渡すつもりはないよ」
その子へ向けた和泉くんの言葉に、少なからずあの幼馴染の久野さんの姿を思い浮かべてしまう。
「……そ、そんなに大事なんだね…。あの子のこと」
「………は?」
思わず出てしまった言葉は、和泉くんにはっきりと拾われてしまった。



