和泉くんの考えてることはわからない。




「ご、ごめん!俺……っ」

「へ?あ、いいよいいよ!全然気にしてないし!」


謝る大原くんに、ブンブンと手を振る。



もう小学生の頃の話だ。


そりゃ当時のことでたまに辛くなることはあるけど、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいて今の私は十分幸せなわけで。



「もうっ、早苗からも何か言ってよー。大原くん、そんな謝らないでってば!」


それなのにずっと謝ってくる大原くんが逆になんだか面白くなってしまって、早苗と目を合わせて2人で笑ってしまった。



─────コンコン、

「はーいっ」


笑いすぎて涙目になっている時に聞こえた、ノック音。


なんとか笑いすぎた呼吸を整えてドアを開ければ、その瞬間に私の呼吸はピタッと止まる。