和泉くんの考えてることはわからない。




「……あれ?早苗、言ってないの?」



てっきり早苗の彼氏の大原くんは知ってると思ってたのに、驚き。


そうは思いつつも、彼氏であれ私の事情を無断で言いふらしたりしない早苗の優しさに胸が温かくなった。




「私、パパとママはいないよ。小学生の時に亡くなっちゃって」

「「……え?」」

「それでお爺ちゃんとお婆ちゃんに引き取られたの。お陰でめちゃくちゃ甘やかされて育っちゃった」



えへ、なんて笑う私の言葉に、目を丸くしたのは当然大原くんと和泉くん。



そっか。和泉くんにも言ってないんだ、私。


和泉くんのことを何も知らないのと同じように、私も和泉くんに何も言ってない。