「あら?あなた…」



そんなタイミングで、後ろからお婆ちゃんの声がした。


お茶が4つ乗ったお盆を持っているところを見ると、私の部屋まで運ぼうとしてくれたらしい。



「あなた、あの時の子よね?」


和泉くんを見上げて目を丸くしたお婆ちゃんは、嬉しそうに微笑んだ。



和泉くんは、お婆ちゃんを助けてくれた。


その時のことを、私もお婆ちゃんも、もちろんお爺ちゃんも、忘れたことは一度だってない。



「お久しぶりです。すっかり元気になられたみたいで」


和泉くんも、そんなお婆ちゃんを見て丁寧に挨拶をしてくれた。