「栞里ちゃん。栞里ちゃんってばー!」 「……へ?あ、何?」 名前を呼ばれて、ハッとした。 目の前には、プーっと頬を膨らませて見つめてくる慎くんがいる。 「もう、僕の話聞いてた?」 「あー…、うん?」 「それ絶対聞いてない!」 拗ねてしまった慎くんに、ごめんねと謝りながら頭を撫でる。 あのダブルデートの日以来、私は和泉くんとあの幼馴染のことがずっと忘れられないでいた。