「俺の勝ち。あとで結花のおごりで購買ね」
「もう!私が綾斗に勝てるわけないじゃない!ハンデほしいぐらいなのに!」
ブツブツいう私を、先に上がっていた綾斗は、
「ほら」
そう言って差し出された手を、一瞬躊躇したのが気づかれなかった?そんな心配をしながら綾斗の手を握った瞬間、
「二人とも早いな」
部長の声に慌てて綾斗の手を離して、私はまた水の中へと逆戻りした。

「結花、何やってるんだよ」
ケラケラと笑う綾斗の余裕の表情にイラっとして、私は水に潜ると、階段まで行きそこから上がった。

そしてそのまま自分のタオルへと向かって歩き出した。

「結花、怒った?」

「別に」

そんな会話をしていると、他の部員も集まってきて綾斗の追求から逃れることができて、私はホッと息を吐いた。