「じゃあね!結花!部活だよね?」
亜美の声に私も大きく手を振ると、急いでプールへと向かった。

きもちいー。

急いで着替えると、まだ誰も来ていないプールに飛び込み、私は目を瞑って上を向いて水面に浮かんだ。

この瞬間が一番好き。
水と一緒になるようなこの感じ。

混ざりあうような、解け合うような。

ぼうーっと浮かんでいると、いきなり手を引っ張られて水に引きずり込まれて、慌てて立ち上がった。

ゴホゴホとせき込んだ私を見て、笑い声と共に聞こえた「ごめん」問う言葉にようやく目を開けた。

「綾斗!」
「あまりにも結花が気持ちよさそうに浮かんでいるから、驚かしたくなった」
まだ、クスクスと笑う綾斗の背中はバシッと叩いて、じろりと綾斗を睨んだ。

いつも、他の部員の裸なんて見慣れているのに、筋肉が程良くついて、水に濡れた髪をかき上げる綾斗にドキンとして、慌てて目線を逸らした。

「もう、驚かさないでよ。水飲んじゃったじゃない」
「悪い。悪い。結花、向こうまで競争な」
まだ。20メートルはある端までを指さして綾斗は泳ぎ始めた。
「え?綾斗!ずるいよ!」
私も慌てて追いかけるも、すぐに水の中でも綾斗は追いかけられなくなり、夢中でプールサイドを目指した。