「結花」
「なに?」
着替え終わって、更衣室を出た所で綾斗に呼び止められて私は振り返った。

「ほら。約束。購買はもういいから買えりなんか食ってこ」
「えー、何を?あまり高い物は止めてよ」

私は内心一緒に帰れることにドキドキしてることを悟られないように、少し困ったような表情を作って綾斗を見た。

「わかってるよ。ほらいくぞ」

振り返って笑う綾斗に、私もつられて笑って綾斗の背中を追った。

「何にしようかな。結花家どこ?」

「S町」

「ああ、じゃあ電車乗ってI駅からバス?」
「そうそう。どうせ田舎だからね」
少し不貞腐れたように言った私に、綾斗は、

「俺はその駅で乗り換えだけどな」
「何に?」

「地下鉄」
「ふーん、都会にお住まいですね」
あえてかしこまって言った私に、「そうだよ」とあははと笑った綾斗から目が逸らせなかった。

「じゃあ、I駅でいいな。何があったけ?」
「綾斗何食べたいの?」