「寒っっ」
屋上へ出るドアを開けて
冷たい風に吹かれた私は独り言を零した。
寒いけど…心地いい。解放された気分だ。
だれもいない1人だけの世界みたい–––––––
と、思ってたのに。
「!?」
私の視線の先には、めんどくさそうにこちらをみている黒沢 景士。
やば、邪魔しちゃった。
同じクラスとはいっても、話したこともないし、まず話しかける勇気もない。
弱い私と強い黒沢君。
違いすぎるから、絶対話せないと、
昨日、合コンを断る黒沢君をみて痛感したばかりだ。
私は先ほど出たばかりの
ドアにそーっと近づいた。
(立ち去ろう。できるだけ早く…!)
「お前」
もう少しでドアノブに手が届く距離で
黒沢君が口を開いた。
びっくりしすぎて声が裏返りそうになるのを必死に抑えて
「な、なんでしょうか…?」
と言いながら座っている黒沢君の方を見る。
「いつも一緒にいるやつらは」
と意外な質問に驚きながらも
「今日は、1人で食べようと思って…」
と今度は普通に声が出た。
私の答えに黒沢君は
「ふぅん…」と目を細めた。
どうしてそんなこと聞くのだろう。
疑問に思い、口を開こうとした時、
黒沢君の口が先に動いた。
「お前、いっつも誰かにペコペコしてるから1人が怖いのかと思ってた。」
あまりにもストレートすぎる黒沢君の言葉に少しムッとする。
でも全て正解で、何も言えない。
1人が怖いのも、
ペコペコ?っていうのかわからないけどしてるのも。
そうか、まわりからはペコペコしてるように見えてるんだ。
私は一旦黒沢君から目をそらして
「でも、私がペコペコしてたら、周りの人は嫌な思いもせずに、楽しくすごせる。」
と、もう一度目を合わせて言った。
私はなにも間違っていない。はずなのに–––
「じゃあ、自分はどうなんだ。楽しいのか」
と黒沢君の立ち上がって私の目を見た。
黒沢君の左目に私の心の奥底を見透かされているようで、おもわず息を飲んでしまう。
私、私は––––––––––––
楽しい?その答えはNOだ。
楽しいはずない。しんどい、つかれる。
じゃあどうすればいいの。私は。
黒沢君は私に
「俺はお前を見て楽しそうだとは思わない。見てて腹立つぐらいな」
と言いすて、屋上から出ていった。
屋上に1人、取り残される。
風が、私の髪を揺らした。
見てて腹立つぐらい…
知らない間にそんな思いをさせてしまってたのか。私は。
なぜだろう、腹立つこともない。
あんなにサラッと何気にひどいことを言われたのに。
––––––––– 逆に 嬉しかった…?
ひどいことを言われて、嬉しかったと言えるMではない。
でも、初めてだ。
『じゃあ、自分はどうなんだ。楽しいのか』
『俺はお前を見て楽しそうだとは思わない』
ずーーーっと隠してた心の底を見透かして、私の気持ちを聞いてくれた人。
黒沢君の私を見つめる綺麗な瞳を思い出しながら、私はお弁当を片手に立ち竦んでいた。
屋上へ出るドアを開けて
冷たい風に吹かれた私は独り言を零した。
寒いけど…心地いい。解放された気分だ。
だれもいない1人だけの世界みたい–––––––
と、思ってたのに。
「!?」
私の視線の先には、めんどくさそうにこちらをみている黒沢 景士。
やば、邪魔しちゃった。
同じクラスとはいっても、話したこともないし、まず話しかける勇気もない。
弱い私と強い黒沢君。
違いすぎるから、絶対話せないと、
昨日、合コンを断る黒沢君をみて痛感したばかりだ。
私は先ほど出たばかりの
ドアにそーっと近づいた。
(立ち去ろう。できるだけ早く…!)
「お前」
もう少しでドアノブに手が届く距離で
黒沢君が口を開いた。
びっくりしすぎて声が裏返りそうになるのを必死に抑えて
「な、なんでしょうか…?」
と言いながら座っている黒沢君の方を見る。
「いつも一緒にいるやつらは」
と意外な質問に驚きながらも
「今日は、1人で食べようと思って…」
と今度は普通に声が出た。
私の答えに黒沢君は
「ふぅん…」と目を細めた。
どうしてそんなこと聞くのだろう。
疑問に思い、口を開こうとした時、
黒沢君の口が先に動いた。
「お前、いっつも誰かにペコペコしてるから1人が怖いのかと思ってた。」
あまりにもストレートすぎる黒沢君の言葉に少しムッとする。
でも全て正解で、何も言えない。
1人が怖いのも、
ペコペコ?っていうのかわからないけどしてるのも。
そうか、まわりからはペコペコしてるように見えてるんだ。
私は一旦黒沢君から目をそらして
「でも、私がペコペコしてたら、周りの人は嫌な思いもせずに、楽しくすごせる。」
と、もう一度目を合わせて言った。
私はなにも間違っていない。はずなのに–––
「じゃあ、自分はどうなんだ。楽しいのか」
と黒沢君の立ち上がって私の目を見た。
黒沢君の左目に私の心の奥底を見透かされているようで、おもわず息を飲んでしまう。
私、私は––––––––––––
楽しい?その答えはNOだ。
楽しいはずない。しんどい、つかれる。
じゃあどうすればいいの。私は。
黒沢君は私に
「俺はお前を見て楽しそうだとは思わない。見てて腹立つぐらいな」
と言いすて、屋上から出ていった。
屋上に1人、取り残される。
風が、私の髪を揺らした。
見てて腹立つぐらい…
知らない間にそんな思いをさせてしまってたのか。私は。
なぜだろう、腹立つこともない。
あんなにサラッと何気にひどいことを言われたのに。
––––––––– 逆に 嬉しかった…?
ひどいことを言われて、嬉しかったと言えるMではない。
でも、初めてだ。
『じゃあ、自分はどうなんだ。楽しいのか』
『俺はお前を見て楽しそうだとは思わない』
ずーーーっと隠してた心の底を見透かして、私の気持ちを聞いてくれた人。
黒沢君の私を見つめる綺麗な瞳を思い出しながら、私はお弁当を片手に立ち竦んでいた。

