「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっっ！！！！」
おざなりな血にまみれた手術台の上にいる少年は両手両足はもちろん腹部、首を台に付属している枷で固定されている。それなのに、ガタガタと音をたてて白眼を剥きながらもがき苦しんでいる。
「だめだな、これは。リセットだ。」
少年の脇にたっている白づくめの研究員は金槌を振り上げ、躊躇い無く少年の頭上に降り下ろした。
ごりゅ、ぶちゅ。骨が砕け肉がつぶれる音がした。血飛沫が辺りに無造作に飛び、血がだらだらと大量に流れていった。　　　

俺は、何度、殺されたんだろうか。
ある日は手足を意識のある中で切断され、
ある日は血管に酸を流された。
お前らは、体から血が抜けていく感覚、内側から溶けていく感覚、自分の思考が他の何かに侵食されていく感覚、刃物を突き立てられる感覚を、知っているのか？わかっていてやっているのか？
「ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃっ、いぎっっっ……」
生理的欲求が問答無用で遮断され、存在を権力で揉み消され、人類を救うためと言い聞かされる。
もう、疲れたんだよ、もう、限界なんだ。

研究員がナイフを構えた。
しかし、もう、少年の目に光はなかった。
あるのは暗く沈んだ絶望に染まった瞳だった。