「なぁ、話聞いてる?」
「あ、うん。
夜桜くんも図書委員なの?」
「そうだけど…」
まぁ、図書委員じゃなければ私に声をかけるわけないか。
同じクラスなのにまるで関わったことなかったなぁ。
私が保健室にいるから何だろうけど。
そして、席を立った私を見て夜桜くんは廊下へ向かって歩き始める。
私もそれを追って、小走りで彼の近くへ移動する。
「きゃっ」
何かに足を取られ、バランスを崩し体が前のめりになる。
あーこれは転けるな、なんて冷静に考えてしまう。
最悪だ、こんなほぼ初対面なのに恥ずかしい姿を見せてしまうなんて。
私が目を瞑ろうとすると、グッと腕を引かれる。
転ける一歩手前というとこで体はピタリと停止し、腕を引っ張ってくれている夜桜くんの方を見る。

