「私のことものめずらしかっただけなんだと思います。きっと・・・」

考えてみれば男の人を惹きつける魅力なんて私にはない。もしかしたら・・・なんて思ってしまった自分が恥ずかしい。

「オレいっつも牧野にグチ聞いてもらってるじゃない?」

高田さんがじっと私を見る。

「牧野といるとさ。リラックス効果がある気がするんだよね。人間アロマテラピーっていうか」

高田さんがコーヒーをすすりつつ続ける。

「普通は2人きりで沈黙が続くと苦痛だけど牧野だと全然苦痛じゃなくてむしろ癒されるっていうか。オレだけがそう感じるのかと思ったらそうじゃないのかも。それってさ一種の才能だよ」

「高田さん・・・」

「もっと自信持っていいって。まぁヤツがどう考えてるのかはわからないけどそうやって牧野を傷つけたのは事実だし。そんなヤツのことは忘れたほうがいい。ほんとはオレが彼氏になってあげたいけど」

また高田さんがニヤニヤと笑う。

「あはは。ありがとうございます。なんか少し元気がでたかも。高田さんの方こそ彼女とうまくいってるんですか?」

私は少しいつもの調子を取り戻して高田さんに話をふった。

「オレのことなんてどうでもいいだろって・・・。ってさ。最近結婚迫られちゃって迷ってるんだよね・・・」

とまたいつものように高田さんがグチりはじめる。

こうやって心配してくれて話を聞いてくれる人がいるだけで私は幸せだ。

また明日から以前の自分に戻ろう。吉岡くんに出会う前の生活に。