紘平はそれを見つめ黙っていた。

 みのりはユリナの指輪を見て、複雑な気持ちになっていた。


 これはどういう意味だろう。

 紘平の指にもリングがあった。

 これはそれと繋がりがあるものなのだろうか。


「…いつか、こんな日がくるとは思ってたよ」

 紘平は静かに言った。

「約束、したものね」

「……」

 ユリナはそう言って、紘平を見つめた。

 紘平もまたゆっくりと頷いて彼女を見つめる。


 そのただならぬ空気に、みのりは耐えきれなくなる。



 2人は何かを約束している?


 お互いの指に指輪があり「約束」とは、ひとつしかないだろう。



「…すみません、失礼します」

「篠田?」


 こんな場面は見たくない。


 どこかで怖れていた。

 指輪があるのは、特別な意味があり、相手がいるのだということ。



 みのりはその場から走り去った。