さっきから時計ばかりを気にしている。
 

 朝からフロントに着いたみのりは、チェックアウト客に対応している。
 
 けれど客が途切れるごとに、心はどこか落ち着かなかった。
 

 
 あれから二日経ち、紘平の会社が仕切るプレゼンが行われる。
 
 さきほど、クライアントと思しき集団がフロントに訪れた。
 
 会議室へと案内すると、そこには物々しい空気が流れていた。
 
 
 ちらっと紘平の姿が見えたが、さすがに今は声をかけるべきではないと、その場を去った。
 

 そろそろプレゼンが始まっている頃だろう。
 
 もう一度時計を確認すると、みのりは深呼吸をした。
 

 まるで自分のことのように緊張している。
 

 うまくいきますように。
 
 祈ることしかできないけれど、繰り返しそう願った。
 

 とりあえず、自分も目の前の仕事に集中しようと、パソコンに向かったときだった。
 

 視界の隅に、華やかな女性が映った。

 自然と惹きつけられ、顔を上げる。