「大和は友達で…確かに仲良かったですけど、同志というか…あくまで仲間で」

 誤解を解きたい一心で、息継ぎもせずに喋っていた。

「なんだ、ちがうのか」

「はい、なんだか噂になっていたみたいですけど…付き合ってないです」

 紘平はふっと息を吐き出して、みのりを静かに抱きしめた。


「…それは、長いこと誤解してたな…」

「え…?」

「いや……」

 口ごもる紘平を不思議そうに見つめながら、とりあえず本当のことを知ってもらえた安堵感に胸をなでおろす。


「噂…といえば、先輩もありましたね」

「何?」

「その…マネージャーと付き合ってたって…」

 思い切って聞いてみた。


 噂は本当ですかと、当時何回も聞こうとして勇気が出なかった。

 紘平は逡巡すると、あー、と思い出したように言う。


「そんなこと言われてたっけ」

「はい」

「俺も同じだよ、仲が良かっただけだ、マネージャーとは」

 驚くほどあっさりと否定されて、心が解れた。


「そうだったんですか……私も、ずっと誤解してました」



『なんだ……』

 2人同時に声が重なった。


「え?」

「いや……」


どこかほっとした空気が、2人の間に流れた。