静かな夜空に瞬く星。
 

 その中に、紘平と2人きりでいたあの空気と似ていた。
 
 紘平はその時のことを覚えている。



「先輩……あの」
 
 私もそう思っていた、そしてそのときのこと、紘平のことを覚えている。
 
 そう告げようとした時、紘平がグラスを置いた手でみのりを引き寄せた。


「あ……っ」
 

 態勢を崩して、彼の胸元によりかかる。
 
 距離が縮むと、また鼓動が騒ぎ出す。
 
 間近に迫った瞳を見つめ、確信した。
 

 お互い、今考えていることが同じだと。



「……本当に、不意打ちだった」
   
 
 紘平に抱き締められ、微かにウィスキーの香りが耳をくすぐる。


「おかげで、うまく集中できない」
 

 再会してから、嬉しさの中に戸惑いがずっとあった。


 それはみのりも感じていた。
 
 どうしていいかわからない再燃した想い。



「……まさか、お前とまた会えるなんてな」
 


 もしかして。

 それは紘平も同じなのかもしれない。
 

 彼の熱い眼差しがそう語っているようで、みのりの頬が熱を持つ。
 


 紘平の唇がゆっくりと近付いた。
 
 自然と瞳を伏せて、彼の腕をつかんでいた。
 


 曖昧でいい。
 

 
 今は、この再会が運命かどうかなんて、誰にもわからない。