「…もしもし」


『もしもし大?結愛は…』


「ゆあはさっき寝たとこだよ。
もう落ち着いたから大丈夫そう」


『そう。良かったわ』




電話越しからも分かるくらいに母さんの安心したようなため息が聞こえた。




俺はゆあに聞いたことを簡単に母さんに話した。




「母さん、芽依ちゃんにテディベアプレゼントしたでしょ?
それと同じものをゆあは芽依ちゃんにプレゼントしようとしてたらしい」


『えっ…!?それじゃ結愛はそれを見て……』


「自分はいなくてもいいと、邪魔になるだけだと思ったんだろうな」


『そんな…それは申し訳ないことをしたわ。
あらかじめ結愛のプレゼントを聞いておくべきだったわ…』


「偶然が招いたことなんだから、仕方ないよ。
母さんもあまり責めないで。ゆあはもう大丈夫だから。
しばらく落ち着くまで、俺のところにいるから」


『ごめんね。大、ありがとう』


「俺は大丈夫だから。じゃ、お休み」




母さんのお休みという返事を聞いて通話終了ボタンをタップする。




すっかり暗くなった夜空を見上げてゆあを起こさないように窓を開ける。




「…ひーくん……どこ…」


「…っ!ゆあ…?」




寝室に入るとさっきまで握っていたゆあの手が俺を探して宙をさまよっている。




「ゆあ…俺はここにいるよ」




再びゆあの手を握ると、ゆあは安心したのか眉間に寄っていた皺が伸びた。