【side 大】




ゆあの手を握り、髪をとかすようにして頭を撫でる。




しばらくそうしてるとゆあから規則的な寝息が聞こえてきた。




「……ゆあ?」




寝たかどうか確認するために一応名前を呼んでみる。
でもゆあが目を開けたり声を出すことはなくて寝たのだと分かった。




雨で全身濡れたゆあを見た時は焦ったけど、無理して笑うゆあを見て何があったのかはすぐに分かった。




ゆあが無理して笑うのは決まって家族のこと。




きっと母さん達と何かあったか、何かを見たかのどっちかだと思った。




ゆあを無理して笑わせないように俺がいるつもりだったのにな。




「……もうあんな顔、ゆあにはさせないからな」




眠るゆあの頬に手を添えて顔を近付けると、ポケットに入れていたスマホが震えた。




取り出すと母さんからの着信だった。
俺はゆあを起こさないように手を離して寝室にあるベランダに出て通話ボタンをタップした。