「それじゃ、お休みゆあ」




私がベッドに入ったのを確認すると大くんは私に背中を向けた。




その背中を見て何を思ったのか、私は大くんの服の裾を咄嗟に掴んでいた。




え、え、私何してんの!?




自分でしたことに驚いたけど、何故か体が固まって大くんの服の裾を離せなかった。




服を掴んだことで大くんは前に進めず前のめりになって止まった。
そして目を丸くして私と掴まれた裾を交互に見た。




大くんをみてやっと体が動いて、素早く手を布団の中に引っ込めた。




「あ、いや、何でもないから!
おやすみ大くん!」




焦りを隠して無理やり笑う。
そんな私を大くんはじっと見ると、いきなりベッドの隣に腰を下ろした。




そして布団にしまった私の手を出して優しく握った。




「寂しがり屋のお姫様のために、寝るまで傍にいてやるよ」




ふっと笑う大くんが何だかいつもよりかっこよく見えて直視できない。




そんな私を気にもせず空いた手で私の髪を優しくとかす。




その手つきと私の手を握る手の体温が異様に心地よくて、私はすぐに夢の世界へと旅立ってしまった。