心を落ち着かせようとしていると、コーヒーを飲みほした大くんがマグカップをテーブルに置いて立ち上がった。




「とりあえず今日はもう寝ろ。
俺のベッド使っていいから」


「え!?それはいいよ!
私がお邪魔してるんだから私は布団でいいよ!」




なんならその辺にある座布団でもいいし!




慌てて断るけど、大くんは有無を言わさない微笑みを浮かべてまだ座ったままの私に手を差し伸べる。




「こら。そこはお兄ちゃんの言うこと聞いて甘えろよ」


「…うぅ…分かったよ」




そこでお兄ちゃんの特権を使われたら何も否定できないじゃん。




私は差し出された大くんの手をとって立ち上がる。




大くんはそのまま私の手を離さずに握ったまま私を寝室へ案内してくれた。




「どうぞ」


「…お、お邪魔します…」




大くんの寝室は初めて入る。
なんだか変に緊張する…




寝室もモノトーンで統一されていて余計なものが置かれていない。




「意外とキレイ…」


「おい、それまた言うか」


「いてっ」




初めて大くんの家に行った時と同じことを言ったらまた大くんに頭を軽く叩かれた。




大くんに見守られながらベッドに入る。




布団から大くんの匂いがして、まるで大くんに抱き締められているような感覚に陥る。




そういえばパジャマも大くんのスウェットなんだよね。
全身が大くんのものだと今更ながらに理解すると、急に心臓がいつもより速く動き始めた。