家の前に着くと足を止めて俯く。




「…ゆあ?家に着いたぞ?」




大くんの手を握る手に僅かに力を入れる。
それに気付いた大くんは俯く私の顔を覗き込んできた。




「…ひ、大くんは私が"今"の家族と仲良くなっても、変わらずに傍にいてくれる…?
こうやって他愛ない話して、一緒に笑ってくれる?」




絞り出すように言えば、繋がれている手とは反対の手が私の頬に触れた。




驚いて顔を上げれば、大くんが微笑んで優しい手つきで頬を撫でる。




「俺の"今"の家族はゆあなんだから、当然だろ?
だから早くただいまって言って家に入りな」


「…っ!……うん!」




大くんの言葉が嬉しくて、何故だかすぐに信じられて、私は笑顔で頷くと大くんに手を振って家に入った。




「…俺の今の家族……か…」




私が家に入った時に大くんがそう呟いたことなど知らずに。