「…そうか。母さんや学さんと話せたんだな」
「うん!最初はなんて言われるか怖かったけど、学さんも芽依ちゃんも挨拶してくれて嬉しかった。
なんだか家族ってこんな感じなんだな~って昔を思い出したよ」
お母さん達に話しかけてから数日後のバイトの帰り道。
いつものように大くんと手を繋いで帰る。
その時に私はあれからの出来事を大くんに話した。
そしたら大くんは、良かったなって言って頭を撫でてくれた。
「じゃあ、次は学さんをお父さんと呼べるようになるといいな」
「えぇ!?お父さん!?
それは……ハードルが高いというか、なんというか……」
「高くないだろ。
事実、ゆあの今の父親は学さんなんだから」
大くんの言葉は正しくて何も言い返せない。
自分の父親なのに名前で呼んでいるなんて確かに少し変だけど。
学さんをお父さんと呼んでしまったら、血の繋がった私の"本来"の家族を忘れてしまう気がして。
アメリカにいるお父さんや、今私の隣にいる大くんだってそう。
離れてしまいそうで、怖い。



