男の人の家に行く。




違う風に言えばそうなるわけで。





そう思えば思うほど緊張して、居酒屋のバイトをしてる感覚なんてなかった。




そして時間もあっという間に過ぎてしまい私は今、大くんと大くんの家に向かっている。




「ヒ、ヒロクンノイエタノシミダナー。
ドンナヘヤナンダロウ」




家に向かうまでの沈黙が怖くて無理やり話題を作ったけど、話し方が片言になってしまう。




大くんはいつも通りな感じで「なんで片言なんだよ」ってつっこんでくる。




そりゃ、片言にもなりますよ!
だって大くんの!男の人の家に行くんだよ!




声を大にして叫びたかったけど、近所迷惑になるから心の中で思いきり叫んだ。




「…ここだよ」




到着したのは閑静な住宅街の中に建つアパート。
周辺を見れば通ったことのある場所で、意外と私の家から遠くはないと分かる。




大くんは私の手を引いて自分の家へと私を導いてくれた。