薔薇が一面に咲き誇る。




「ね、はやく!はやくこっちきて!」


「待って。そんなに急ぐと……」




ドテ




「……やっぱり」




前方からかなり大きな転ぶ音が聞こえ、駆け寄れば案の定うつ伏せに倒れる幼女が一人。




「…ゆ、ゆあ?」


「あははっ!ころんじゃった!」




"ころんじゃった"と何度も言いながら笑うゆあと呼ばれる幼女・結愛に少年は、安心したように笑みを浮かべた。




「ゆあ。けがはない?」


「うん!だいじょうぶ!ゆーあはげんき!」



少年の手をとる結愛は顔に砂埃をつけながらも。周りに咲く薔薇のように眩しい笑顔を見せた。