今から十年ほど前


家に父親は既に居なく


母親は遊び人だった


その頃の母は、まだ優しくて


俺も杏李も懐いてた


けどその半年後、母が働いてたキャバクラのオーナーが変わった頃


母は、その男に夢中になってしまった


家にもほとんど帰らず、ご飯も無い


そんな状況で支えてくれていたのは隣の家の
遥香ちゃんだった


その日も遥香ちゃんがご飯を作りに家に来ていた


そんな時


いきなり家に、あのオーナーと母が帰ってきてこう言った


〝お前達はもういらない。この人と結婚するから……………死んで?〟


「……………あ……………え?」


「母さん?嘘だよね?」


「嘘じゃない私、この人と結婚するの
だから……………あんた達はいらない」


チャキ……………


!?……………銃!!!


「やめてよ!杏李と桃李になんてことするの!!!!」


「っち、うるせぇな……伽耶子、こいつら殺していいんだよな?」


「ええ、さっさと殺してちょうだい」


「……………っ!!!!」


「駄目ーーー!!!」


パァンッッッッ


「……………っ遥香お姉ちゃん!?」


「っっ遥香お姉ちゃん!!!!」


「……………二人とも……………逃げて……………お願い」


「……………え?お姉ちゃんっっお姉ちゃん!!!」


「……………駄目だ……………もう……」


「うわあああああああ」


「逃げなきゃ……………」


そこからの記憶はあまり覚えていない


たしか意識が朦朧としていた所で瞬の家に、転がり込んだ


瞬の親達はとても優しくて最近やっと杏李の笑顔が見られてきたところだ