「俺が高校生の時の話なんだけどね。」


「急にどうしたの?」


「まぁ聞いてよ。
高校生の時、好きな女の子がいたんだ。」


「なになに~!
三上さんの恋バナ超気になる!」


「先に言っておくと、フラれた。」


「え・・三上さんでもフラれる事あるんだ・・。」


「そりゃあるさ。でもその子の場合はちょっと事情が違ったんだ。」


「うんうん。」


「その子は、女性の事が好きな女性だったんだ。」


「・・・・レズ・・ってこと?」


「そうだね。
だから俺とは付き合えないって。

びっくりしたよ。

でも勇気を出して俺にカミングアウトしてくれた事も含めて、彼女とはそれからも良い友達だった。

それでここからがミライちゃんにも聞いて欲しいところなんだけど、

その子は親に“自分は同性愛者だ”ということをなかなか告白できなかったんだ。」


「うんうん。」


「俺も何度か相談に乗ったり、彼女を励まし続けたりして、ついに3年生の秋頃、親にカミングアウトしたんだ。」


「・・・・どうなったの?」


「その子の親、その時何て言ったと思う?」


「・・・ひょっとして拒絶されたの?」



「“それでもお前を愛してる”
って言われたんだって。」



「なに~!
ちょっと泣けてくるんですけど!」



ミライちゃんは煙草を吸うことも忘れ、右手に持っていた煙草は既に半分近くまで灰になっていた。