隣の殺人鬼










―――――― 


「お先に失礼します。」

19時に仕事を終えると、まだ残っていた人達に挨拶をして青木さんと一緒にフロアを出る。



既に磯村課長は今日のお店に向かったので、少し遅れて俺達も向かう。



「鳥越君、本当に今日大丈夫だった?
用事あったなら帰ってもいいよ。
私から課長達に言っておくから。」


「いや大丈夫です。予定も無いので。
青木主任のほうこそ急に誘われて大丈夫なんですか?」


「うん。私も大丈夫。」



エレベーターに乗り込み1Fへと降りる。



「それにしても、俺が原因で言い争ってたなんて何だか悪いです。

磯村課長と城島課長の仲が悪くならなきゃいいけど。」



「あら、あの2人はお互いを尊敬しあってるし心配しなくて大丈夫よ。

多分、鳥越君達と飲みたかっただけじゃないかな。」



「青木主任がそう言ってくれるなら安心します。」





・・・それにしても青木さんは相変わらず美人だな。


隣にいるだけで他の男性社員の人達から羨ましがられるし、それは正直ちょっと優越感がある。


今日も「飲みに行くぞ」と磯村課長が言った時には、背中でバリバリ視線を感じた。


今にも「俺も俺も!」と磯村課長に訴えかけそうな、そんな視線だった。