「おい!青木!」
磯村課長がまだ少し遠い青木さんを呼び、手を振る。
ハッと気付いたように青木さんが俺達を見た。
道路を渡り、青木さんの所へ向かう。
「お疲れ様です。」
「なに突っ立ってたんだよ。」
「すみません、ちょっと考え事を。」
「営業部の連中は?」
「先に戻られて私も今から戻るところです。」
「よし、じゃあ先に行ってるぞ。」
「・・・・“一心鶏”ですか?」
「早く来いよ。」
磯村課長と青木さんの流れるようなやり取りを後ろで聞きながら、
磯村課長が再び歩き出したので俺も付いていく。
営製管理部の・・・いや、銅収堂社員の誰もが羨む青木さんとの飲みを、
こうも簡単に実現できるのは磯村課長と城島課長ぐらいだな・・。
しばらく歩いて、“一心鶏”と書かれた看板のお店に入った。



