「浅村さんにも困ったものですね。」
佐竹さんは少し表情を緩める。
俺の緊張を解こうとしてくれるのが伝わった。
「浅村さんの失言、私からお詫びします。
申し訳ございませんでした。」
「い、いえ!そんな、佐竹さんが謝ることでは・・僕も大人げなかったでした。」
頭を下げる佐竹さんを前に、焦りまくって声が少し裏返る。
「それにしても、どうして急に青木さんの話になったのですか?」
「社長が今お会いしている塩見様が、元々先代の運転手だったという話から・・・社長が良くされている方の話になり・・・。」
「・・・なるほど。
浅村さんも同じ運転手の立場から、常務にまでなられた塩見様に対して、
色々思うところはあるのでしょう。」
あまり浅村さんの事を悪く言いたくなかったので濁したが、佐竹さんは全て察してくれたようだった。



