車は大爆発を起こした。黒い煙をもくもくと上げ、燃料が外に勢いよく漏れ出した。そしてそれに火がつき、
2度目の爆発。すぐにその場から離れ、
人数を確認した。
全員いた。運転手は…見ると血だらけの手が車の外から出ていた。陸が確認するが首を横に振った。
銃声音が突如鳴り響く。建物の裏に素早く隠れる。
こちらも、準備をする。狙いを定める。
ハンドサインで隊長の健が、サインを出した。
敵が我々を撃つように我々も敵を撃つ。
ドドドドドドド…バババババババ…
激しい銃撃戦の後、沈黙が続いた。
敵が居なくなった。いや、違う。
撃ったんだ俺たちが。敵を殺したんだ。
健が人数を確認する。卓也が奥の銃を取ろうとした瞬間、血だらけの敵が背後から現れた。
卓也は撃たれた。頭を撃ち抜かれたのだ。
俺は、すかさずハンドガンを取り出し、敵の頭を撃ち抜いた。バタっと呆気なく倒れる。これで合計2人死者が出た。皆が目を見開いて固まっていた…
市街区の道路は血で赤く所々が染まっていた。
車が無いので仕方なく歩いて帰る。
歩きながら考えていた。なぜ殺し合わなくてはいけないのか。家族のために戦うやつもいるはずなのに。
「気になるんですか?どうして戦わなければならないのか。」
ふと、俺の心を見たかのように佐奈田が聞いてきた。
「私たちなんて国の道具にすぎません。だから戦うしかありません。女王さまは絶対ですから」
ここで会話は途切れた。まぁ、当たり前だ。
親しく無いし、よく知りもしない相手だ。
乾いた地を重い牛革のブーツで踏みつける。
ザ、ザっと軽くしっかりとした足音が鳴りく。
基地に着いたのは、夕方だった。
歩き疲れで部屋に戻ろうとしたときだった。
マリア市街区に行っていた6人班のうち、
帰ってきたのは二人だけだった。
4人が居なかった。二人は、一人二つづつ
ドッグタグを持っていた。名前が彫られている鉄板だ。大きさは人の口にねじ込めるぐらいだろうか。実際に使用方法がそうなのだから
と言うことは、あの4人はもう…
基地にいる人皆動揺している。
「規律を乱すな!」その一言で、
緩んだ空気が一瞬にして無くなった
いや、ピリピリした空気に変わったのだ。
責任官が続きを話した。
「マリア市街区に行っていた奴のうち
4人が勢力から離脱した!今回の事を女王
陛下に報告する。呼ばれた者は明日、
我が王都ルーデルクへ私と共にむかう。
そして、女王陛下のもとへ行くのだ!」
「それでは発表する。
友賢 小弥太 ともかた こやた
佐奈田 由良
暁 海鋭 …以上だ。」
「明日、七時に出発する。では解散!」

友賢ってのはマリア市街区に行っていた奴だ。

隣をふと見ると佐奈田がメール?をしていた。
いったい誰にだろうか。不吉な予感がした。
だが、俺には関係のない事だ。
実戦で汗をかいたし、砂埃だらけだ。
部屋に戻ってシャワーでも浴びるか…
基地の扉を開けて階段を登って自室に入る。
殺風景な景色が明日は目が眩むくらいの
眩しさに出会う事だ。俺が選ばれた理由を
考えながらシャワーを浴びる。先輩に当たるからだろうか。それともくじ引きか?考えれば考えるほど混乱してきた。だから考えるのは後にした。
それに、シャワーは気持ちが良いから。
私服に着替えて、ベッドに横たわる。
実戦の事もあってか急に眠気が
襲ってきた。最近よく眠れるようになった。
そんな気がした。