「なあ、お前笑うなよ?」

自分の中だけに留めておけなくなって、オレはついに友達にカミングアウトした。

高校のクラスメートの佐々木だ。
オレが自分の身に起きていることを淡々と伝えると、佐々木はごくりと唾を飲み込んで言った。

「田辺、お前もなのか?」

ということは……!!


佐々木の細胞も生きていた。
しかもオレの細胞と同じで、愚痴ばっかりはくらしい。

「しまいにはパーツ同士で喧嘩してさ。みんな仲悪いんだよね」

そうか、喧嘩しないだけオレの細胞はましだな。

佐々木とはまた話をする約束をしてその日は別れた。

仲間が見つかってよかった。
もしかしたらオレたちの他にも仲間がいるかもしれないな。

明日は佐々木に何か知らないか聞いてみよう。

次の日、佐々木は学校を休んだ。

オレは折角見つかった仲間と話せなくて残念に思った。

また明日になるか……

だが、次の日もまた次の日も佐々木は来なかった。

どうしたんだ?

「あの、先生、佐々木はどうしたんですか?」

不思議に思ったオレは担任に尋ねた。

「今日みんなにも伝えようと思っていたんだが、佐々木は…亡くなったよ」