「また会ったね」とおじさんは言った。

朱色に照らされた気味の悪い笑顔が、夜の闇に浮かんでいた。

「先週の、残っていたのは首から下だけだったらしいよ。あ、ニュースではやってたけどね」
聞いてもいないのにおじさんは喋る。

「ひどいよね?」
無視をしているのに問いかけてくる。

適当にあしらおうと思って口を開いたが、空いた歯の隙間から風が吹き込んできてすぐに閉じた。

「うん、ひどいよ」

おじさんは一人で納得して、燃え盛る木造アパートを満足そうに眺めた。

「前のやつ…先週の方がすごかったなあ。……な?」

顔をグルンとこちらに向けるおじさんは、とても愉快そうだった。