小雨だった雨は夜が更けるほどに本降りになり、首に紐を付けてぶら下がったてるてる坊主に雨粒がぶつかる。


濡れて透けて重くなった体を、首の紐だけで懸命に支えた。


風に飛ばされてきた木の葉が、容赦なく体にうちつけられた。


黒い油性ペンで描かれた顔は雨で滲んで台無し。


それでも、ニコニコ笑い続けた。



びゅうっと吹いた強い風に、首の辺りのティッシュペーパーが破けて、てるてる坊主はベランダに溜まった水の中へ。


溶ける。

ふやける。


消えてゆく。



跡にはティッシュペーパーの繊維が浮かぶ、濁った水だけが残った。