私は、幼い頃に、殆どの近い身内を失った。
同時に私は、寄る辺を失ったのだ。

その後、面識の無かった親戚に引き取られたが、なかなか旨く行かないやって行けなかった。

色々と悩んで、もう、死にたいと思った時に、一条邸の姫君に女童として仕えないか、と言われた。

「とても、お可哀想な方だよ。」

そう言われた、私は何故だろうか、行きたい、と応えたのだった。


用意して貰った、美しい汗衫を着て、お邸に参った時は、本当に緊張していたのを覚えている。

新参者は、すぐに目通りなど、出来ない、それが決まりであったのか。