だからって、私は陸の見た目とかで好きになったわけじゃないよ。



一年前———



「それで、こいつが陸。同じ学部だから仲良くしてやってね〜」

「うん!私は柚。陸くんよろしく」



照れたように少しだけ笑う顔にも、それはもちろんトキメキまくったけど。



「柚ちゃん、お水とか大丈夫?」

「ん?まだそんなに酔ってないよ?」



私が何度もお手洗いに立つと、やたら体調を気に掛けてきて。

ていうか、その度になにげに一緒に部屋から出てくるし。



「もしかして陸って、柚ちゃんに惚れたんじゃない?」



それを友達から突っ込まれて冗談半分にからかわれれば



「えっ…、ななな何が?」

「お前分かりやす過ぎるんだって」



何も言えなくなって顔を赤くするし。今までにないタイプで新鮮だったのかな。



「柚って呼べばいいよ。私も陸って呼ぶし」

「えっ…でも。すぐには無理かも。なんか、照れるし…」



栗色の髪を揺らしながら下を向く。

そんな仕草に、なんかすっごいドキドキして。

気が付いたら私の方が、陸に完全にはまってたんだ。