指先の感覚が、どんどん無くなって。
耳元で聞こえる陸の鼓動さえも、よくわからなくなってきて。
私に触れていた陸の左手に、右の手まで加わって抱きしめられた時には
もう呼吸の仕方も忘れそうだった。
「言えるじゃん」
「えっ…」
……陸??
思わず顔を上げると、超近距離で陸が照れ笑いをする。
「柚がそう言ってくれるのどんだけ待ってたと思う?オレだってかなり限界ギリギリだったんだからな〜」
なんだかすごく嬉しそうな陸。
え…もしかして、言わせた?
「柚のお誘い仕草に言葉だけで返すのもすごい辛いし、逆に柚の気を引こうといろいろ作戦してみたけど、柚も頑固でなかなか言わないし」
さ、作戦て……
私から言わせようと、いろいろ計算で行動してたってこと?
ちょっ…!!
こいつ、超小悪魔っ!!
「陸っ!一体どういうこと!」
「だってオレ、そうやってオレの気を引くのに一生懸命な柚大好きなんだもん。すっごい可愛い」
「かっ、可愛いって…」
なんか、完全にペース持ってかれてない?!
「オレにすぐ迎えに来てもらうために、飲み会の会場を調節するとことか、とくに素直で可愛いじゃん」
「なっ……」
っていうか、
全部見抜かれてるっ(汗)

