私が強く言うと、陸は困ったように眉を下げる。
でも…
本当に帰りたくないんだもん。
陸はそんな私をしばらく眺めて、それから振れていた左の手にぐっと力を込めた。
それに引き寄せられるように、私の頭は陸の胸の中にすっぽり入る。
こ、こんなに近く…
顔も上げられないっ。
「どうした?柚」
陸の優しい声が、胸の辺りから響いてきて。
それと一緒に、陸のドクンドクンって音も、大きく聞こえてきて。
「今日は陸といる…」
「なんで?」
「なんでって、だからっ……」
陸に触れてる部分がすごく熱い。
陸の声に反応する全部が、壊れそ…
「柚、なんで帰らないの?」
「だから…」
陸はきっと、私がドキドキしてるの腕で感じてるよね。
今さら何強がったって、私の気持ちなんてわかっちゃってるよね。
でも……
緊張しちゃうなぁ……
自分の音で、耳の奥がボーッとしてきて。
陸の香りで、思考までどうにかなりそうで。
「だから私は陸が…
り、陸が、大好きだから……たくさん一緒にいたいだけだもん」
言っちゃった……

