「オレ、いい雰囲気作るの上手いよ?」

「はっ…?やっ」



助手席のドアに押し付けられたと思ったら、一瞬のうちに竜介の顔がすぐ目の前までやってくる。


キスされる!

私は咄嗟に顔を右に避けた。

そしたら、そのまま竜介の顔は私の首元に……



「ふ…んんっ」



背筋が沸き上がるように震えが走る。

チクッとした痛みを感じたと思ったら、竜介は私の顔をニッと笑って覗き込んだ。



「オレが予約しましたってマークね。これで他の奴にはとられない」



得意げに言って助手席の扉をあける。

私は恐る恐る左の首に手を添えた。



キスマーク、付けられた…



「可愛い〜。ドキドキしてるの?」



顔を赤くした私の頬を、竜介はポケットから出した手でそっと撫でる。

バカか!ムカつき過ぎて爆発してるんだよ!



「うっ…くっ……」



なんかもう悔しくて。とにかく何も考えられなくなってて。



「っ、むかつくっ!!」



走って帰ってやろうと、私は駐車場の出口の方へ足を向けたんだ。

そしたら、目の前に見なれた車がスーッと入って来て。