でも、たぶん陸も私を好きでいてくれてるって思ってたから。
ううん、陸がそうじゃなくても、私は陸が……
どんなに遅い時間に呼び出したって、絶対会ってくれて。
眠そうな顔しながらも「どうした?」って笑って迎えに来てくれて。
困らせると黙り込んですねるけど、私が「陸〜」って甘えれば照れながら振り向いてくれて。
「いいじゃん…それでも好きなんだから」
陸が私を好きじゃなくても、私はそんな陸が好きなんだもん。
足なわけない。
一緒にいたいから、すぐに会いたいから。いつでも飛んで来て欲しいだけだよ。
「もう!痛いから離してよ」
「そんな潤んだ目で言われたって離せるわけないって。そうやって男心をくすぐってさ。ホント小悪魔だねぇ」
あんたに小悪魔してる覚えは無い!
そういう態度は、好きだから勝手に出ちゃうものなんだから。
「ちょっと!」
竜介は私を駐車場まで引っ張っていく。
こういう強引な奴ってサイテー!
とにかく自分の意志中心で、相手のことなんておかまい無し。
陸は絶対こういうことしないよ。
いつだって私のことを優先してくれて、自分の気持ちなんて後回しで…
だから…言ってくれないのかな。
夜の駐車場は静かで、その広さが少し肌寒さを感じさせた。
竜介は自分の車らしき所まで私を連れていく。
「夜景連れてってあげる、女の子なら誰でも好きだろ?」
そんなのあんたと見たってキレイじゃない。
気持ちがなかったら、どんなことも素敵じゃないんだから。

