姉ちゃんが入院してから結構経つわけだけれども……




俺たち家族がお見舞いに行くことは無かった。




前に姉ちゃんのお見舞いに行かないのかと尋ねたら、私たちが行っても心が休まらないでしょと母親に言われ、イラッときた俺はしばらくその手の話題は出さなかったのだが……




もう2週間弱が経ってるのだから、そろそろ行ってもいいと思った。









「……なぁ、姉ちゃんのお見舞い行かなくていいの??」









「……またその話……蒼先生からちょくちょく連絡来るし、大丈夫でしょう。私たちが言っても璃音が気を遣うだけよ。」









「……別に家族なんだから……」









「……涼、私達は、家族の皮を被った、ただの他人よ……?あくまでもね。その一線は超えられない。倒れたんだから、私たちより家族に近い蒼先生とかと一緒にいた方が、今はいいのよ。」









「……っ!なんだよ、それ。母さんが一線を引いてる間は俺達は家族になれねーよ!!」









腹が立った俺は扉を強く閉めて自分の部屋に閉じこもった。









「……その一線を超えてしまったら後戻り出来ないのよ、涼……」









そんな切なげな声が後ろから聞こえた気がした。










「っだよ。それ。家族家族って思ってる俺が馬鹿みたいじゃないかよ……!」









この行き場のない怒りが俺の中を渦巻いていた