「璃音ちゃん、先週の体育て倒れてそのまま救急搬送されたんだけど、まだ意識が戻らないって担任の先生から報告がありました。
いつ戻ってこれるかわからないとの事なので……戻ってきたら優しく迎え入れてほしいし、戻ってくるって信じて待っててあげて。」
部内は静まった。
部員はいいんちょーの病気のことよく知らないから、どう反応していいかわからない様子だった。
この話を聞いて状況が理解出来たのは多分、フルートパートと、俺らだけ。
話が終わったあと、部員のみんなは普通に移動してたけど、俺らはそうはできなかった。
長い沈黙の中一番最初に口を開いたのは和。
「……これやばくないか?いいんちょー死なない?大丈夫?」
「辞めろ、死ぬとか縁起悪い。」
咄嗟にキヨが切れたけど、和の言う通りだと思う。
申し訳ないけど、いいんちょーの事だから有り得なくはない。
「お見舞いとかダメなのかな?」
普段いいんちょーの体のことについて何も言わない猿が言うもんだからびっくりした。
「いいね!お見舞い!!!!!!行こ!」
いや、行こうって……キヨならそう言うと思ったけど……
俺は気になって猿に聞いてみた。
「おい、猿。なんでいきなりお見舞いとか言い出すんだ?お前らしくない。」
「このまま状況わからなくても和も清貴もスッキリしないだろ。あんな顔で毎日過ごされたらたまったもんじゃない。」
「たしかに正論だな。」
「ま、なんだかんだ一番心配そうなのは上岡、お前だけどな。」
「は、なんで?!」
「あの話聞いて、いつもなら普通に移動始めてるだろ。なのにお前まで固まっちゃってさ。」