澪はなんとなく訊いてみたくなった。


「恭介はアンナ先生が亡くなった日覚えてる?」

「四月四日」


すぐに返ってきた答えに少し驚く。

恭介は杏奈先生とさほど関わりがなかったのに命日を覚えていたことが意外だった。

よく覚えてるね、と言うと恭介は別に、と素っ気なく答えた。


「きょうでちょうど四ヶ月目なんだよ。それでヨネがお参りに来たいってここに来たの」


なぜ澪は学校にいるのか疑問に思っていたようで恭介はああ、と納得しながら相槌を打った。


「あそこの桜並木道でヨネは手を合わせてた、ずっと。
でもあたしは。
あたしはどうしてもできなかった。あたしにはその資格がないから。
ヨネにまだ先生のことが好き?って聞いたの。
そしたら前以上に好きって」


澪は膝を抱えてうずくまった。

涙はもう出ないけれど、まだ胸は痛い。

まるで誰かに掴みとられているかのように痛かった。