春に行われた部内主将決め戦。
通称:王座戦。

王座戦は、男女混合で剣道部部員全員が参加の試合である。
もちろん今年入った1年生もだ。

優勝すれば、力の象徴でもあり、王座でもある主将という称号が貰える。
その王座戦で、今年転校してきた3年生の詩川一喜に負けて、私は「副」主将になった。

あの時は、悔しかったなと思いながら、後輩達を門まで見送った。
近所の家の夏みかんの香りがした。

水道で頭の汗を流し終わった時、

「花火に見とれる君の姿
僕は、君の肩を包み込んだ
恥ずかしいそうに下を向く姿は
とても愛しい。」