「よし、じゃあ行くぞ」

「へ?」



俺は大神の身体に手を差し入れると抱上げた。
そのまま保健室に向かう。



「お~おっとこ前」

「うるせえ、黙ってろ」



からかう海老名に喝を入れ、急ぎ足で体育館を出た。
俺の腕の中にいる大神は真っ赤な顔をして戸惑ったように目を泳がせている。




「ちゃんと、鼻抑えとけよ」

「は、はい…あの…」



あーもう。
俺だってこんなの柄じゃねぇのに。
つーか、この役割、海老名にやらせとけばよかったんだ。

俺がやる必要なかったっつぅの。
頭に血がのぼって、海老名の声でハッとして大神を見て。
血が出たって思ったら頭の中パニックになって思わず…。


なにやってんだ、俺。



あーくそ。
俺らしくもねえ。