「てめぇ!!今ワザと…!」



怒りが頂点にあがり、俺はボールをぶつけた女に掴みかかる勢いで向かっていく。
周りは騒然とビビッて道をあける。
あちこちで悲鳴が上がる。



「ウサギ!!バカ!大神さんが先だろ!」

「…!」



海老名の声でハッと我に返る。
大神を見ると顔を抑え蹲っている。
かなりの衝撃だった。
痛いはずだ。



「…お、おい」

「あ…」



ポタポタッと、指の隙間から赤い血が垂れる。
は、鼻血…!




「大神さん!」

「だ、だいじょ…」




血、血…!
俺は上に羽織っていたジャージを脱ぎ、大神の顔に押し付けた。



「ふっ、んん!?」

「これで鼻抑えとけ!く、臭くても我慢しろよ」



それ着たままバスケしたし、汗かいたし。
そんな事、気にしてる場合じゃねぇし。



「保健室に行こう。大神さんの代理、誰か出れそう?」

「あ、私出るよ」

「律ちゃん。ありがとう。頼むよ」



海老名が周りに対応してくれる。
亀井が名乗りを上げてくれたみたいだ。