｢…泣いたって｣
｢え…？｣
｢あの後、泣いたって本当か｣
気になっていた。
俺だって、ケンカばっかしてっけど、女を泣かして気分がいいわけじゃない。
俺のせいって言うなら、尚更。
｢…泣いていませんよ？｣
｢…ん？｣
ギロリと海老名を見る。
海老名は微妙な笑顔を見せ顔をそむけた。
｢海老名！てめぇ！」
｢えー、なんのこと―？｣
｢しらばっくれんな！嘘つき野郎が！」
｢で、でもショックを受けてたのは本当だし！それくらいのことしたってウサギだって思ってたんだろ！？だから、信じたわけだし。現にひどいことをしたわけだし！」
｢許されようとしてんじゃねぇ！｣
ゲシゲシと足蹴りをくらわせる。
一度くらい痛い目みせといた方がいいんだこの男は。
ヘラヘラと平気で嘘をつきやがる。
｢え、海老名くん…｣
｢酷いなぁー。大神さんに嫌われるよー｣
｢黙れ！」
