｢連れてきたよ！ウサギ、ほら！」
勢いよく扉が開いたかと思えば、大神を連れた海老名が戻って来た。
連れてきてどうしろっていうんだ。
海老名はああ言ったけど、大神にとってはこのまま離れたほうがいいんじゃないのか。
｢あ、あ、あの…、宇佐木くん…その｣
ほら、こんなにビビってんだ。
いい加減俺の本性に気づいただろ。
｢あの、ご、ごめんなさい！」
｢…は｣
｢私、私…、宇佐木くんに酷いことさせてしまって…。私が鈍くさいばっかりにその…｣
｢お前、馬鹿か｣
どう考えたってあの出来事で大神が謝ることなんて何一つねぇだろ。
それなのに何先に謝ってんだよ。
バカなのか。
｢え…｣
それでなんで、俺にバカっつわれたくらいでそんな傷ついた顔すんだよ。
