「とりあえずさ、ご飯食べるでしょ?」
「いらねえ。そんな気分じゃない」
そういや朝からなにも食ってねぇや。
でも、そんな気分じゃないし。
「お姉ちゃんの料理が食べれないっていうの?」
「~~~っ!あーもう、わかったよ!食うよ!」
くそっ。
姉ちゃんには敵わない。
あの日からずっと。
俺は姉ちゃんに頭が上がらない。
「凛にはさ、幸せになってもらいたいのよ」
「あ?」
「あんただって、幸せになっていいの」
「…別に俺は、そんなの望んでない」
幸せがどんなのかなんてしらねぇけど。
きっとこれ以上望めば、罰が当たる。
今で十分だ。
こうやって姉ちゃんと二人で生きていける。
俺には、それだけで。