「ヒドイ、ひどすぎるよ、ウサギ」
「ウサギじゃねぇ!濁点つけんな!うさきだ、宇佐木!」
憐れむような顔で俺、宇佐木凛(うさきりん)を見つめるのは、ダチの海老名統太(えびなとうた)。
放課後ワクドナルドにきた俺たち。
さっきの一部始終を好奇心たっぷりに覗いていた悪趣味なこいつはさっきからずっとそう繰り返す。
「あんな言い方ないじゃん。あんなに必死に伝えてたのに」
「う、うるせぇよ。じゃあどういえばよかったんだよ。てか、あいつ知らねぇし」
そもそも、知りもしねぇ奴にす、す、好きだとか言われたって困んだろ。
「知らないって、同じクラスじゃん」
「…は」
はああああ?
いたか、あんな奴。
どんな奴だったっけ。
髪…黒紙でストレートで長くて、それから…前髪で顔はよく見えなかったし。
身長はチビだった。
そんくらいしか覚えてねぇけど、は、クラスメイト?
初めて知ったし。