「てか花見ってまだ桜咲いてたのかよ」

「桜なんてねぇ、あってもなくてもいいのよ。飲む口実が欲しいだけなんだから」



もう4月も半ばごろ。
桜なんてほとんど残ってないだろう。

なんでも、花見の時期に予定していたのが、仕事が急にバタバタと忙しくなったとかで延期になってしまったらしい。
なら花見じゃなくて飲み会にしてしまえばいいのに、花見として集まったらしい。
しかも、しっかりと散った後の桜の木の下で。


「蜂屋のやつがー…」

「はいはい」


適当に流してねえと疲れる。
蜂屋って、よく姉ちゃんの話に出てくる。
同期だったか?


「凛…、いい加減ケンカとかやめなよー」

「あ?うるせぇな」

「あんたが傷つくの…もう見たくないんだよ…」

「……別に、傷ついてねぇし」




この酔っ払いめ。
捨て台詞のように吐いてから、眠りに落ちた姉ちゃんにタオルケットをかける。
散らかった部屋を適当に片づけて電気を消した。